アイデア段階またはMVP創業者からグローバルスタートアップ創業者へ

— 非英語ネイティブ創業者による実践ガイド


はじめに

この記事は非英語ネイティブ の視点から書いています。
私は現在54歳の連続起業家 で、B2B AIスタートアップ の創業者です。
事業はプレシードステージ にあり、$1Mの資金調達 を目指しており、米国本社 のもとに日本とシンガポール に子会社を持っています。

この記事は、アイデアやMVP を持つ会社員の方が、どのようにしてグローバルスタートアップ創業者 になるかを、私の経験に基づいてまとめたものです。
少しでも皆さんのコンパスになれば幸いです。


1. スタートアップと一般事業の違い

一般の新規事業・中小企業スタートアップ
プロダクトの焦点複数プロダクト単一コアプロダクト
成長スピード年10%程度月10%以上
コスト構造変動費が高い原価15%以下(SaaS等)
ビジネスモデル受託・コンサル型プロダクト主導成長
目的安定スケール

よくある誤解として、新しい事業ならすべてスタートアップ という考え方があります。
しかし、受託案件やコンサル収益 に依存する事業はスタートアップではありません
本当のスタートアップは、人員数に比例せず指数関数的に成長できるプロダクト を作ります。


2. 会社員から創業者へ:自分のステージを理解する

会社を立ち上げて資金調達だけに集中するのは、正しいアプローチではありません。
たとえ資金を集められたとしても、それが成功した創業者になることを意味するわけではありません。
各ステージには明確なマイルストーンがあります。

アイデア段階・MVP 段階・初期売上・トラクション獲得段階 のどこにいるのかを理解することが、早すぎる資金調達や拡大を防ぐ第一歩です。


3. 本社所在地と市場戦略の選び方

グローバルSaaSを目指すなら:アメリカ・デラウェアC-Corp

B2B SaaSやソフトウェア事業でグローバル市場を目指すなら、
アメリカ(デラウェア)本社 一択です。VC調達には必須です。

VCが資本に入ると、その後にデラウェアへの移行(Delaware Flip)はほぼ不可能になります。
まだVCが入っていない段階で、早めにDelaware Flip を実施しておくのがおすすめです。
🔗 What is the Delaware Flip? — Skala Blog

アジア市場を狙うなら:シンガポール本社

シンガポールは英語圏で法規制も透明性が高く、銀行・税制もスタートアップに適しています。東南アジア市場を狙う創業者には最適です。

体験記事:

ヨーロッパ市場を狙うなら:エストニアE-Residency

ヨーロッパ市場向けなら、まずはエストニアのE-Residency法人 を設立し、事業成長に応じてEU内の他国へ展開するのが効率的です。

体験記事:


4. どのプログラムに参加すべきか?

(a) アイデア段階・MVP 段階の会社員創業者向け:Founder Institute(FI)

🔗 https://fi.co

得られること:

  • グローバルなスタートアップマインドセット
  • 英語でのピッチ・ストーリーテリング能力
  • 世界中のメンターからの体系的な指導

メリット:

  • 会社員を続けながらリモートで参加可能
  • ローカルリーダーによるグローバルコミュニティのサポート

デメリット:

  • 週20〜30時間 のアウトプットが必要
  • 「スタートアップのトレッドミル(ランニングマシン)」のように厳しいが、その価値は大きい

体験記事:

代表的な卒業生例:Udemy
2010年シード1億円 → 2021年NASDAQ上場(時価総額2,200億円、売上700億円以上)
TechCrunch 2010


(b) B2B SaaS創業者向け:Y Combinator(YC)

🔗 https://www.ycombinator.com/apply/

MVP 後で初期トラクションが見え始めたら、最もおすすめなのがYCです。
「準備ができてから応募」は誤りです。今すぐ応募しましょう。

参考動画:


(c) 中小企業向けSaaS:500 Global

🔗 https://500.co/founders/flagship

私はFlagshipではなく日本プログラム(SVE)に参加しましたが、非常に実践的で成長に直結する内容でした。
体験記事:500 Global Tokyo参加レポート


(d) ハードウェア・製造業:Alchemist Accelerator

🔗 https://www.alchemistaccelerator.com/

(e) ライフサイエンス系:UC Berkeley SkyDeck

🔗 https://skydeck.berkeley.edu/


5. アクセラには何回行けばよいのか?

アクセラレータは事業を成長させるための場 であり、肩書きを増やすための場所ではありません。
確かに仲間や新しい知見は得られますが、同時に数十〜数百時間 という実行の時間を失うことになります。
つまり、学びと実行のトレードオフ です。

私はアクセラを次の2種類に分けて考えています。

  • ブートキャンプ型: 投資付きで創業者本人のみ参加可能なタイプ
  • ビジネスマッチング型: 展示会・ピッチ・協業を目的としたタイプ(投資なし・経営層も参加可)

ブートキャンプ型アクセラ は、人生で1回、世界的に評価の高いプログラムに参加すれば十分です。
ただし、フェーズごとに壁にぶつかることがあるため、その際はその成長段階に合ったプログラムに再度参加するのもありです。
同じフェーズで何度も似たアクセラに参加しても、知り合いは増えますが成長の機会を逃します

一方、ビジネスマッチング型アクセラ は何回参加しても構いません。
各国政府や大企業が有望スタートアップを誘致するため、短期アクセラやピッチコンテストを招待費・賞金付き で開催しています。
複数回参加することで、協業チャンスが飛躍的に広がります。


6. 最後に:誰でもグローバル創業者になれる

  • まずは会社員を続けながらパートタイムで始める ことが可能
  • スケーラブルなプロダクト 作りに集中する
  • 早期に国際プログラムに参加 してマインドとネットワークを鍛える

シリコンバレーは場所ではなく、マインドセットだ。
LinkedIn創業者 リード・ホフマン

起業は職業ではなく、学びのプロセス です。
小さな一歩一歩が、世界への扉を開きます。